小児科おかもん先生 だより Vol.241
「胸がふくらんできました」、思春期早発症
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
思春期の体の変化は正常な成長過程ですが、通常より早く始まる場合は「思春期早発症」として精査が必要なことがあります。今回は、思春期早発症についてお伝えします。
思春期早発症とは?
女児
- 早発の定義
- 7.5歳未満で乳房発達
- 正常な開始
- 8-13歳
- 頻度
- 女児に多い
男児
- 早発の定義
- 9歳未満で精巣増大
- 正常な開始
- 9-14歳
- 頻度
- まれ
| 思春期の順序(正常) |
|---|
| 女児:乳房発達→陰毛→成長スパート→初経 |
| 男児:精巣増大→陰毛→成長スパート→声変わり |
ポイント
- 女児7.5歳未満、男児9歳未満の発達は要注意
- 女児に多い
- 正常な思春期の順序を知っておく
何が問題ですか?
| 問題点 | 詳細 |
|---|---|
| 最終身長の低下 | 骨端線が早く閉じて伸びが止まる |
| 心理的問題 | 周囲との違いによるストレス |
| 行動への影響 | 年齢にそぐわない体の変化 |
| 基礎疾患の存在 | 脳腫瘍などが隠れていることがある |
一時的に背が高くなりますが、骨の成熟が早く進み、最終的に低身長になることがあります。
ポイント
- 最終身長が低くなる可能性
- 心理的な配慮が必要
- 基礎疾患の除外が重要
検査は何をしますか?
| 検査 | 内容 |
|---|---|
| 血液検査 | LH、FSH、エストラジオール/テストステロン |
| 骨年齢 | 手のレントゲンで骨の成熟度を評価 |
| LH-RH負荷試験 | ホルモン分泌パターンを確認 |
| 頭部MRI | 脳腫瘍の除外(特に男児は必須) |
| 腹部エコー | 卵巣・子宮の評価(女児) |
男児の思春期早発症は基礎疾患がある可能性が高いため、必ず頭部MRIを行います。
ポイント
- 骨年齢で成長の余地を評価
- 男児は脳腫瘍の除外が特に重要
- LH-RH負荷試験で確定診断
治療はどうしますか?
| 治療 | 内容 |
|---|---|
| GnRHアゴニスト | 思春期の進行を抑える注射(月1回) |
| 治療期間 | 通常の思春期開始年齢まで継続 |
| 治療目標 | 最終身長の改善、心理的負担の軽減 |
| 副作用 | 少ない。中止すれば思春期が再開 |
| 治療が必要な場合 |
|---|
| 骨年齢が暦年齢より2年以上進んでいる |
| 最終身長予測が目標より低い |
| 心理的な問題が大きい |
ポイント
- GnRHアゴニストが標準治療
- 月1回の注射で思春期を抑制
- 中止すれば思春期は再開する
早熟と思春期早発症の違いは?
特徴
- 早発乳房
- 乳房のみ発達。他の変化なし
- 早発陰毛
- 陰毛のみ出現
- 思春期早発症
- 複数の二次性徴が進行
対応
- 早発乳房
- 経過観察(多くは自然消退)
- 早発陰毛
- ホルモン検査で確認
- 思春期早発症
- 精査・治療が必要
乳房だけが少し膨らむ早発乳房は2歳前後に多く、多くは自然に消退します。
ポイント
- 部分的な変化のみなら経過観察
- 早発乳房は2歳前後に多い
- 複数の変化が進行する場合は精査
今号のまとめ
- 女児7.5歳未満、男児9歳未満の二次性徴は要注意
- 最終身長の低下が最大の問題
- 男児は脳腫瘍の除外が特に重要
- GnRHアゴニストで治療可能
- 部分的な変化のみなら経過観察
あわせて読みたい
- Vol.239「低身長」
- Vol.242「甲状腺疾患」
- Vol.240「肥満」
ご質問・ご感想
「思春期が早いのでは」「胸のふくらみが気になります」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
愛育病院 小児科 おかもん先生
本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。