愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.384
かんしゃくがひどい
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
スーパーで寝転がって泣き叫ぶ、保育園の帰りに道路で座り込む、家で壁を叩く。こうした「かんしゃく」は、1〜3歳の親御さんにとって最も消耗するテーマの一つかもしれません。今号では、最新の研究データから「どこからが受診ライン」なのかを整理します。
かんしゃくはどれくらい「普通」なのですか
かんしゃく(temper tantrum)は、1〜3歳のほとんどの子どもで見られます。2024年の韓国小児科雑誌の大規模調査では、18〜24ヶ月児の87%、30〜36ヶ月児の91%、42〜48ヶ月児でも59%が日常的にかんしゃくを起こすと報告されました [1]。1日に1回以上のかんしゃくも、2歳児の20%、3歳児の18%で見られます [1]。
つまり「かんしゃくがある」こと自体は、何の異常でもありません。言語能力と感情調整能力のミスマッチが起きる時期だからです [2]。
ポイント
- 2歳児の9割は日常的にかんしゃくを起こす [1]
- 1日1回以上のかんしゃくも珍しくない
- 「かんしゃくがある」こと自体は正常発達
どこからが「病的」なかんしゃくですか
最近の発達精神医学の研究では、以下の3つのパターンが「病的なかんしゃく」のサインとされています [2][3]。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 長い時間 | 15分以上続く、または25分以上が複数回 |
| 頻度が高い | 週3回以上の激しいかんしゃく |
| 攻撃性 | 物を壊す・人を叩く・自分を傷つける |
特に「自傷を伴うかんしゃく」は、後の精神病理(不安・抑うつ・ADHD等)との関連が報告されています [3]。2024年のDevelopmental Pathways研究では、こうしたパターンを持つ子どもは早期の精神医学的評価の対象になるとされています [3]。
・15分以上続くかんしゃくが頻回 ・自分を叩く・かむなどの自傷 ・物を壊す・人を傷つける攻撃性 ・3歳を過ぎてもかんしゃくが減らない、むしろ増える ・言葉の遅れや他の発達の気になりも伴う
家庭でできる関わり方

おかもん先生より
外来で「かんしゃくがひどくて」と来られる親御さんに、僕はまず「直そう」としないでくださいとお伝えします。2歳のかんしゃくは、言葉で表現できない悔しさや疲れの“発熱”のようなものだからです。親ができるのは、解熱ではなく見守ることに近い。ただし、自傷や長時間型のパターンがあるときは別です。僕は診察室で「いつから?」「どれくらい続く?」「何が引き金?」を具体的に聞きます。この3つを答えられる親御さんは、すでに半分くらい解決の糸口を持っています。
日常的な対応のコツは次の通りです [2]。
- 予告する:「次の予定」を絵や写真で見せる
- 選ばせる:2択で自分の意思を出せるようにする
- 休ませる:睡眠不足・空腹はかんしゃくのトリガー
- 事後に話し合う:収まってから、何があったか一緒に振り返る
今号のまとめ
- かんしゃくは1〜3歳のほぼ全員が経験する正常な発達現象
- 15分以上・週3回以上・自傷や攻撃性を伴うものは受診の目安
- 自傷型のかんしゃくは後の精神症状リスクと関連
- 家庭では「予告・選択・休息・事後の振り返り」が基本
愛育病院 小児科 おかもん先生
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。