小児科おかもん先生 だより Vol.205
「聞こえが悪いかも?」、滲出性中耳炎
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
滲出性中耳炎は、中耳に液体がたまる病気です。急性中耳炎と異なり痛みや発熱はほとんどなく、聞こえの悪さが主な症状です。気づかれにくいため、言葉の発達や学習に影響を及ぼすことがあります。今回は、滲出性中耳炎についてお伝えします。
滲出性中耳炎とは?
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 好発年齢 | 3-7歳 |
| 頻度 | 就学前児の約90%が一度は経験 |
| 原因 | 耳管機能の未熟さ、急性中耳炎の後遺 |
| 痛み | 通常なし |
| 難聴の程度 | 軽度〜中等度の伝音難聴 |
| 急性中耳炎との違い |
|---|
| 急性中耳炎:痛み・発熱あり |
| 滲出性中耳炎:痛み・発熱なし、聞こえの悪さが主 |
ポイント
- 痛みがないため気づかれにくい
- 聞こえの悪さが主症状
- 就学前児の約90%が経験
どうやって気づけますか?
| 家庭で気づくサイン | 詳細 |
|---|---|
| テレビの音量が大きい | 聞こえを補おうとする |
| 呼んでも返事をしない | 聞こえていない可能性 |
| 話し声が大きい | 自分の声が聞こえにくい |
| 言葉の発達が遅い | 聞こえの問題が影響 |
| 落ち着きがない | 聞き取れないことへの反応 |
| 「え?」と聞き返す | 聞こえの悪さ |
3歳児健診や就学時健診で見つかることも多いです。気になる場合は耳鼻科を受診してください。
ポイント
- テレビの音量や返事に注意
- 言葉の発達への影響に注意
- 健診で見つかることも多い
検査と治療は?
| 検査 | 内容 |
|---|---|
| 鼓膜所見 | 鼓膜の色や位置の変化を確認 |
| ティンパノメトリー | 中耳の圧と鼓膜の動きを測定 |
| 聴力検査 | 難聴の程度を評価 |
| 治療方針 | 詳細 |
|---|---|
| 経過観察(3か月) | 自然治癒率が高い(約60%) |
| 薬物治療 | 抗ヒスタミン薬、去痰薬 |
| 鼓膜チューブ留置術 | 3か月以上改善しない場合 |
| アデノイド切除術 | アデノイド肥大がある場合 |
約60%は3か月以内に自然治癒します。まずは経過観察が基本です。
ポイント
- ティンパノメトリーが有用
- 約60%が3か月で自然治癒
- 改善しなければチューブ留置
言葉の発達に影響しますか?
| リスクが高い場合 | 詳細 |
|---|---|
| 両側性 | 片側より影響が大きい |
| 3か月以上持続 | 長期化すると言語発達に影響 |
| 発達障害の合併 | 聴覚情報処理への二重の負担 |
| 言語環境が不利 | 日本語以外が母語の場合等 |
逆に、片側の軽度の滲出性中耳炎が一時的にある程度なら、言語発達への影響は小さいです。過度に心配する必要はありません。
ポイント
- 両側性・長期の場合は注意
- 一時的な片側性なら影響は小さい
- 心配な場合は耳鼻科で聴力検査を
日常生活で気をつけることは?
| ケア | 内容 |
|---|---|
| 鼻吸引 | 鼻水をこまめに吸引 |
| 鼻かみの練習 | 片側ずつ優しくかむ |
| 声かけの工夫 | 近くで、顔を見て話しかける |
| 受動喫煙の回避 | 症状を悪化させる |
| 定期的な耳鼻科受診 | 経過をフォロー |
聞こえが悪い場合、近くで・ゆっくり・はっきり話しかけてあげてください。怒って話を聞いていないと決めつけないことが大切です。
ポイント
- 鼻のケアが重要
- 聞こえが悪い時は話し方を工夫
- 定期的な耳鼻科受診を
今号のまとめ
- 滲出性中耳炎は痛みがなく気づかれにくい
- テレビの音量や返事の様子に注目
- 約60%は3か月で自然治癒する
- 長引く場合は言語発達に影響する可能性
- 鼻のケアと定期受診が大切
あわせて読みたい
- Vol.204「急性中耳炎」
- Vol.207「子どもの難聴スクリーニング」
- Vol.206「外耳炎」
- Vol.128「言葉の発達の目安」
ご質問・ご感想
「聞こえが悪いか心配です」「チューブの手術を勧められました」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
愛育病院 小児科 おかもん先生
本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。