愛育病院 小児科おかもん だより Vol.324
「寝る子は育つ」の科学、成長ホルモンと睡眠の深い関係
今号のポイント
- 2成長ホルモンは深い睡眠(ノンレム睡眠stage 3-4)中に分泌のピークを迎えます
- 4年齢ごとに必要な睡眠時間は異なります(新生児16-17時間→学童9-11時間)
- 6夜のスクリーンはメラトニン分泌を抑制し、睡眠の質を下げます
こんにちは。愛育病院小児科のおかもんです。
「寝る子は育つ」、昔からの言い伝えですが、これは科学的にも正しいことがわかっています。今回は、成長ホルモンと睡眠の関係、年齢別の必要睡眠時間、そして睡眠の質を高めるための環境づくりについて詳しくお話しします。
成長ホルモンは本当に寝ている間に出るの?
成長ホルモンは骨の成長、筋肉の発達、脂肪代謝、組織の修復など多くの役割を担っています。つまり、質の良い深い睡眠を十分にとることが、子どもの成長に直結しているのです。」
ポイント 成長ホルモンの70〜80%は夜間の深い睡眠中に分泌されます。特に入眠後1〜2時間が重要です。
子どもはどれくらい寝ればいい? 年齢別に教えて
| 年齢 | 推奨睡眠時間(昼寝含む) |
|---|---|
| 新生児(0〜3ヶ月) | 14〜17時間 |
| 乳児(4〜12ヶ月) | 12〜16時間 |
| 1〜2歳 | 11〜14時間 |
| 3〜5歳 | 10〜13時間 |
| 6〜12歳 | 9〜12時間 |
| 13〜18歳 | 8〜10時間 |
3歳のお子さんで昼寝を含めて10時間であれば、やや少なめです。昼寝をしている場合はその時間も含めて考えましょう。昼寝をしていなければ、夜の就寝時刻を30分〜1時間早めることを検討してみてください。」
ポイント 推奨睡眠時間は昼寝を含みます。不足している場合は就寝時刻を少しずつ早めましょう。
睡眠不足が続くとどうなる?
- 2
肥満リスクの上昇 睡眠不足は食欲増進ホルモン(グレリン)を増加させ、食欲抑制ホルモン(レプチン)を低下させます。複数のメタアナリシスで、睡眠時間が短い子どもは肥満リスクが58〜89%高いことが示されています[3]。
- 4
学業成績への影響 睡眠は記憶の定着(記憶の固定化)に不可欠です。レム睡眠中に日中学んだ情報が長期記憶に移行します。慢性的な睡眠不足は注意力・集中力の低下を招き、学業成績に影響します[4]。
- 6
情緒の不安定 睡眠不足の子どもは、イライラしやすい、かんしゃくが増える、不安が強くなるなどの情緒面の問題が増えることが知られています[5]。ADHD(注意欠如・多動症)の症状に類似した行動が見られることもあり、睡眠不足が誤診の原因になることさえあります。」
ポイント 睡眠不足は肥満・学業不振・情緒不安定のリスクを高めます。ADHD様の症状が出ることもあります。
睡眠の質を高めるには? メラトニンと光の関係は?
ところが、夜間の強い光、特にスマホやタブレットのブルーライトはメラトニンの分泌を抑制してしまいます[6]。具体的な対策を挙げます。
- 2就寝1〜2時間前にはスクリーンオフ:テレビ、スマホ、タブレットを消す
- 4部屋の照明を暗めに:暖色系の間接照明に切り替える
- 6朝の光をしっかり浴びる:体内時計(サーカディアンリズム)のリセットに重要
- 8就寝時刻を一定に:週末も平日との差を1時間以内に
- 10寝る前のルーティン:絵本の読み聞かせ、歯磨き、パジャマへの着替えなど、一定の流れを作る
理想的な就寝時刻の目安は、就学前(3〜5歳)で19:30〜20:30、小学生で20:00〜21:00です。」
ポイント 就寝前のスクリーンオフとルーティンの確立が鍵。朝の光で体内時計をリセットしましょう。
まとめ
- 成長ホルモンの大部分は深い睡眠(ノンレム睡眠stage 3-4)中に分泌される
- 年齢に応じた十分な睡眠時間の確保が成長の基本
- 睡眠不足は肥満・学業不振・情緒不安定のリスク因子
- メラトニンの分泌を妨げないよう、就寝前のスクリーンオフが重要
- 朝の光、一定の就寝時刻、就寝前のルーティンで睡眠の質を高めよう
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