コンテンツへスキップ
MINATON
見えにくいSOSに気づくために 発達障害の二次障害
Vol.117発達

見えにくいSOSに気づくために 発達障害の二次障害

- 二次障害は発達障害そのものではなく、環境との不一致から生じる

発達全年齢6
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 7·Q&A 5問収録

プロフィール →

この記事のポイント

  • - 二次障害は発達障害そのものではなく、環境との不一致から生じる
  • - 内在化(不安・抑うつ)と外在化(反抗・非行)の2タイプがある
  • - 二次障害は適切な対応で予防できる

小児科おかもん先生 だより Vol.117

見えにくいSOSに気づくために、発達障害の二次障害

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

発達障害そのものは脳の特性ですが、適切な理解や支援がないまま過ごすと、不安・抑うつ・不登校・自己肯定感の低下といった「二次障害」が生じることがあります。二次障害は予防できるものであり、早期に気づいて対応することが大切です。今回は、二次障害の正体と予防のポイントをお伝えします。

二次障害とは何ですか?

発達障害の二次障害という言葉を聞きました。どういう意味ですか?

二次障害とは、発達障害そのものの症状ではなく、周囲の環境や対応の不一致によって後から生じる心理的・行動的な問題のことです [1]。例えば、ADHDのお子さんが学校で毎日叱られ続けた結果、『自分はダメな子だ』と思い込み、意欲を失ったり、不登校になったりすることがあります。

分類具体例
内在化障害不安障害、抑うつ、心身症、自己肯定感の低下
外在化障害反抗挑戦性障害、素行障害、暴力、非行
社会的問題不登校、引きこもり、いじめ被害・加害

ポイント

  • 二次障害は発達障害そのものではなく、環境との不一致から生じる
  • 内在化(不安・抑うつ)と外在化(反抗・非行)の2タイプがある
  • 二次障害は適切な対応で予防できる

なぜ二次障害が起こるのですか?

どうして発達障害があると二次障害が起きやすいのですか?

発達障害のあるお子さんは、同じことをしても他の子より多くの努力が必要なのに、結果が伴いにくいという経験を積み重ねやすいのです [2]。例えば、ADHDのお子さんは注意を持続させることが脳の特性として難しいのに、『集中しなさい』と繰り返し叱られます。ASDのお子さんは社会的なルールを直感的に理解するのが難しいのに、『空気を読みなさい』と求められます。こうした『頑張っているのに認められない』経験の蓄積が、自己肯定感を削り、二次障害につながります [3]。

リスク因子説明
叱責の蓄積毎日繰り返される否定的なフィードバック
失敗体験の積み重ね努力しても結果が出ない経験
孤立友人関係の困難、いじめ
過剰適応無理に周囲に合わせ続けることによる疲弊
診断の遅れ特性が理解されないまま不適切な対応が続く

ポイント

  • 「頑張っているのに認められない」経験の蓄積が原因
  • 叱責・失敗・孤立・過剰適応がリスク因子
  • 診断の遅れが二次障害のリスクを高める

二次障害のサインはどう見分けますか?

二次障害が始まっているサインを見分ける方法はありますか?

以下のような変化が見られたら、二次障害の可能性を考えてください [4]。

注意すべきサイン具体的な変化
意欲の低下「どうせ自分には無理」という発言が増える
身体症状頭痛・腹痛・朝起きられないなどの心身症
行動の変化攻撃的になる、反抗が激しくなる
退行以前できていたことができなくなる
回避学校や特定の活動を避けるようになる

「特に大切なのは、『以前と比べて変わった』という保護者の直感です。『最近なんだか元気がない』『急に怒りっぽくなった』という変化に敏感でいてください。」

ポイント

  • 意欲低下、身体症状、行動変化、退行、回避がサイン
  • 「以前と比べて変わった」という直感を大切に
  • 早期発見が早期対応につながる

二次障害を予防するにはどうすればいいですか?

二次障害を防ぐために、家庭でできることはありますか?

二次障害予防の鍵は、『安全基地』としての家庭環境を整えることです [5]。具体的には以下の3つが重要です。

予防の柱具体的な方法
①ありのままを認める結果ではなくプロセスを褒める。「頑張ったね」「工夫したね」
②環境を調整する苦手なことを減らし、得意なことを伸ばす環境づくり
③相談先を確保する療育、スクールカウンセラー、ペアレントトレーニングの活用

「叱る回数を減らし、褒める回数を増やすことが最も効果的です。理想は『褒める:叱る=5:1以上』と言われています [6]。叱らなければならない場面でも、行動を叱り、人格を否定しないことが大切です。」

ポイント

  • 家庭を「安全基地」にすることが最大の予防
  • 褒める:叱る=5:1以上を目指す
  • 人格ではなく行動に焦点を当てる

すでに二次障害が出ている場合はどうしますか?

すでに不登校が始まっています。どうすればいいですか?

まず、お子さんのエネルギーが枯渇している状態だと理解してください [7]。無理に登校させるのではなく、まずは休息と安心の確保が最優先です。

ステップ対応
①休息安全な環境で心身を休ませる
②つながり信頼できる大人(カウンセラー、医師)とつながる
③環境調整学校との連携、合理的配慮の相談
④段階的復帰別室登校、短時間登校など柔軟な対応

「二次障害の治療には、原因となっている環境要因の調整が不可欠です。お子さん自身を『治す』のではなく、お子さんの周りの環境を変えることが治療の本質です。必要に応じて、児童精神科への紹介も検討します。」

ポイント

  • まず休息と安心の確保が最優先
  • お子さんではなく環境を変えることが治療の本質
  • 段階的な復帰と専門家との連携が重要

今号のまとめ

  • 二次障害は発達障害そのものではなく、環境との不一致から生じる予防可能な問題です
  • 叱責の蓄積、失敗体験、孤立、過剰適応がリスク因子です
  • 「以前と比べて変わった」という保護者の直感を大切にしてください
  • 家庭を安全基地にし、褒める回数を増やすことが最大の予防策です
  • すでに二次障害がある場合は、休息と環境調整が最優先です

あわせて読みたい

  • Vol.101「ADHD(注意欠如・多動症)の基礎」
  • Vol.099「自閉スペクトラム症(ASD)の基礎」
  • Vol.134「発達障害と不登校」
  • Vol.138「ペアレントトレーニング」

ご質問・ご感想

「うちの子も二次障害かもしれない」「こうやって回復しました」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。

おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

この記事は役に立ちましたか?

※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

関連記事