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喃語から三語文へ 月齢別・言葉の発達ロードマップ
Vol.122発達

喃語から三語文へ 月齢別・言葉の発達ロードマップ

言葉の発達は「理解」が先、「表出(話す)」が後。理解語彙のほうが予後を反映する

発達1〜3歳14
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 15·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • 言葉の発達は「理解」が先、「表出(話す)」が後。理解語彙のほうが予後を反映する
  • 1歳半で有意語なし、2歳で二語文なしが「相談の目安」。ただしLate Talkerの約80%は追いつく
  • テレビ・動画そのものが悪いのではなく、それによって親子の対話が減ることが問題

小児科おかもん先生 だより Vol.122

喃語から三語文へ、月齢別・言葉の発達ロードマップ

今号のポイント

  1. 2
    言葉の発達は「理解」が先、「表出(話す)」が後。理解語彙のほうが予後を反映する
  2. 4
    1歳半で有意語なし、2歳で二語文なしが「相談の目安」。ただしLate Talkerの約80%は追いつく
  3. 6
    テレビ・動画そのものが悪いのではなく、それによって親子の対話が減ることが問題

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

Vol.73「うちの子、言葉が遅い?」では、Late Talker(遅咲きタイプ)について詳しくお伝えしました。今回はもう少し広い視点から、月齢別の言語発達の全体像(ロードマップ)を描き、各段階で保護者の方が知っておくと安心な情報をお伝えします。

月齢ごとの言葉の発達の目安を教えてください

言葉の発達って、どういう順番で進むのですか?全体像を知りたいです

言葉の発達は、声を出す段階 → 意味のある言葉 → 文を作る段階と進みます。大きな表をお見せしますね [1][2]。

月齢別 言語発達のロードマップ:

月齢表出言語(話す力)理解言語(わかる力)補足
0〜2ヶ月泣き声、クーイング(「あー」「うー」)声のトーンに反応母音中心の発声 [1]
3〜5ヶ月喃語の始まり(「あうー」「ばー」)自分の名前に反応し始める声の抑揚が豊かに [2]
6〜8ヶ月規準喃語(「ばばば」「だだだ」「まままま」)「ダメ」のトーンに反応子音+母音の繰り返し [1]
9〜11ヶ月多様な喃語、身振り(バイバイ)、指差し「ちょうだい」「バイバイ」がわかる言葉の前段階として非常に重要 [3]
10〜15ヶ月初語(「ママ」「ワンワン」「ブーブー」)簡単な指示がわかる(「持ってきて」)中央値は約12ヶ月 [1]
15〜18ヶ月語彙数 10〜50語体の部位を指差せる語彙がゆっくり増える時期 [2]
18〜24ヶ月語彙爆発。50語を超えると急増二段階の指示がわかる二語文の出現(「ワンワン いた」)[1]
2〜3歳三語文以上(「ママ おちゃ ちょうだい」)簡単な会話を理解約200〜1,000語の語彙 [4]
3〜4歳文法が整ってくる。「なぜ?」の質問期物語の筋を理解会話が成立する [4]

「ここで注目していただきたいのは、各段階の年齢の幅の広さです [1]。例えば初語は"10〜15ヶ月"とありますが、これは中央値が約12ヶ月という意味であり、15ヶ月でまだ初語が出ていない子もいます。言葉の発達は、子どもの発達の中で最も個人差が大きい領域です [2]。」

ポイント

  • 言葉の発達は 段階的に進む(クーイング → 喃語 → 初語 → 二語文 → 三語文)[1]
  • 各段階の 年齢の幅は非常に広い [2]
  • 全体像を知ることで「今どの段階か」がわかる

理解言語と表出言語の違いを教えてください

うちの子は1歳半ですが、まだ"ママ"しか言いません。でも、こちらが言っていることはわかっているようです。これはどう評価すればいいですか?

とても大切な観察です。「話す力」と「わかる力」は別の能力であり、発達のスピードも異なります [1][5]。

理解言語 vs 表出言語:

理解言語(わかる力)

定義
聞いてわかる言葉
発達の順序
先に発達する
1歳時点の目安
50〜100語以上理解
個人差
やや小さい
臨床的意義
予後の指標としてより信頼性が高い [5]

表出言語(話す力)

定義
自分から発する言葉
発達の順序
後から発達する [1]
1歳時点の目安
数語(0〜10語)[1]
個人差
非常に大きい
臨床的意義
単独では発達の指標にしにくい

理解言語がしっかりあるサイン:

  • 「〇〇持ってきて」と言うと正しい物を持ってくる
  • 「ゴミ箱に捨ててきて」ができる
  • 「パパはどこ?」と聞くとパパのほうを見る
  • 絵本の絵を指差して「ワンワンはどれ?」と聞くと指差す
  • 「ダメ」「バイバイ」に適切に反応する

お子さんの場合、理解言語がしっかり育っているようですね。これはとても良いサインです [5]。表出言語(話す力)は理解言語の後に追いかけるように発達しますので、ある日突然"語彙爆発"が起こる可能性が高いです [1]。

「逆に、理解語彙もほとんどない場合は、表出だけが遅い場合よりも注意が必要です [5]。理解がない場合、聴覚の問題や認知発達の問題が隠れている可能性があります。」

ポイント

  • 理解が先、表出が後。これが正常な発達の順序 [1]
  • 理解言語がしっかりあれば、表出は後から追いつく可能性が高い [5]
  • 「話さない」より「理解していない」のほうが臨床的には注意 [5]

"言葉が遅い"の定義を教えてください。いつ心配すべきですか?

周りの子と比べてしまって不安です。どこからが"遅い"なんですか?

比べてしまうお気持ち、よくわかります。医学的に"言葉が遅い"と評価される目安は以下の通りです [2][6]。

「言葉が遅い」の定義:

心配の目安

12ヶ月
喃語がない or 非常に少ない
12ヶ月
指差しをまったくしない
16ヶ月
有意語がゼロ
18ヶ月(1歳半)
有意語がない
18ヶ月
理解語彙もほとんどない
24ヶ月(2歳)
産出語彙が50語未満
24ヶ月
二語文がまったく出ない
3歳
他人に言葉が通じない

補足

12ヶ月
発声の発達の遅れ [2]
12ヶ月
共同注意の発達。Vol.123参照 [3]
16ヶ月
表出言語の遅れ [6]
18ヶ月(1歳半)
一般的な「遅い」の基準 [2]
18ヶ月
Late Talkerよりも注意が必要 [5]
24ヶ月(2歳)
Late Talkerの定義 [6]
24ヶ月
Late Talkerの定義 [6]
3歳
構音の問題も含めて評価 [4]

Late Talker(遅咲きタイプ)の定義と予後 [6][7]:

項目内容
定義18〜24ヶ月で産出語彙50語未満 or 二語文なし。ただし理解・社会性・運動は年齢相応
頻度同年齢の約10〜15% [6]
3歳時点約50%が正常範囲に追いつく [7]
4〜5歳時点約70〜80%が正常範囲に追いつく [7]
学齢期多くが日常生活に支障なし。一部は読み書きに弱さが残る可能性 [7]

「つまり、Late Talkerの大多数は自然に追いつくのです [7]。ただし、残りの20%は言語発達障害や自閉スペクトラム症などの可能性があり、早期のフォローが大切です。」

Late Talkerの中で特に注意すべきサイン [6][8]:

サインなぜ注意か
理解語彙も少ない言語全般の遅れの可能性 [5]
指差しをしない共同注意の欠如。ASDの早期サイン [8]
模倣をしない社会性・学習の基盤が弱い可能性 [8]
他者への関心が薄い社会性の発達の遅れ [8]
以前あった言葉が消えた(退行)速やかな評価が必要 [8]

ポイント

  • 1歳半で有意語なし、2歳で二語文なしが「相談の目安」[2][6]
  • Late Talkerの 約80%は4〜5歳で追いつく [7]
  • 理解も遅い、指差しがない、退行がある場合は早めに相談 [5][8]

言葉の発達を促す関わり方を教えてください

家庭でできることがあれば教えてください

言葉の発達を促す関わり方は、特別なトレーニングではなく、日常の中での自然なコミュニケーションです [9][10]。

効果的な関わり方:

やり方

実況中継
子どもが見ているもの・やっていることを言葉にする(「赤いボールだね」「積み木、上手に積んだね」)
拡張
子どもの発語を広げて返す。「ワンワン」→「大きいワンワンだね」
応答的関わり
子どもの発声や喃語に応じる。「あーあー」→「そうだね〜」
対話的読み聞かせ
読みながら「これは何?」「どこにいる?」と問いかける
選択肢を提示
「りんごとバナナ、どっちがいい?」
歌・手遊び
繰り返しとリズムが言語学習を促進

エビデンス

実況中継
語りかけの量と質が語彙発達を予測する [9]
拡張
文法獲得を促進する [10]
応答的関わり
応答性が高い親の子は語彙発達が早い [9]
対話的読み聞かせ
語彙と読解力を促進 [11]
選択肢を提示
言葉を使う動機づけになる
歌・手遊び
音韻認識の発達 [10]

避けたほうがよい関わり方:

避けたい行動理由
「言ってごらん」と言わせようとするプレッシャーになり逆効果 [10]
間違いを訂正する「ブーブーじゃないよ、くるまだよ」は自信を失わせる
先回りして全部やってあげる言葉を使う必要がなくなる
赤ちゃん言葉を長期間使い続ける2歳以降は徐々に正しいモデルを示す [10]

「特に重要なのは、子どもの発声や行動に"応答する"ことです [9]。Tamis-LeMonda et al.(2001)の研究では、母親の応答性が高いほど、子どもの初語・語彙爆発・二語文の出現が早いことが示されています [9]。一方通行の語りかけよりも、子どもの関心に合わせた双方向のやりとりが効果的です。」

ポイント

  • 実況中継、拡張、応答的関わりが効果的 [9][10]
  • 「言ってごらん」は逆効果。自然な文脈でモデルを示す [10]
  • 子どもの関心に合わせた双方向のやりとりが最も重要 [9]

テレビや動画は言葉の発達に悪影響がありますか?

テレビをつけっぱなしにしていることが多いんですが、やめたほうがいいですか?

"テレビ=悪"ではありません。問題はテレビによって親子の対話が減ることです [12][13]。

テレビ・動画と言語発達のエビデンス:

研究結果
Christakis et al. (2009) [12]BGテレビがついている環境では、大人の発話量が有意に減少
Zimmerman et al. (2007) [13]2歳未満の乳幼児向けDVD視聴は語彙スコアの低下と関連
Roseberry et al. (2014) [14]生のやりとり(ライブ)ではビデオよりも言語学習効果が高い
AAP (2016) [15]18ヶ月未満はビデオチャット以外のスクリーン使用を避けることを推奨

スクリーンタイムの考え方:

AAP推奨 [15]

18ヶ月未満
ビデオチャット以外は避ける
18〜24ヶ月
質の高い番組を親と一緒に
2〜5歳
1日1時間以内

ポイント

18ヶ月未満
一方通行のメディアからの学習効果は限定的
18〜24ヶ月
共視聴が鍵。一緒に見て話しかける
2〜5歳
質の高い教育番組を選ぶ

大切なのは以下の3点です。

  1. 2
    BGテレビをオフにする: テレビがついていると、親の発話量が減り、子どもの注意も分散します [12]
  2. 4
    見る時は一緒に見る(共視聴): 「ワンワンがいるね」「何してるかな?」と話しかけながら見る [14]
  3. 6
    生のやりとりの時間を確保する: スクリーンに奪われる時間の分だけ、親子の対話時間を守る [15]

「"テレビを全く見せてはいけない"と考える必要はありません。家事の間に少し見せることは、現実的に必要な場面もあるでしょう。罪悪感を感じる必要はありません。大切なのはバランスです。」

ポイント

  • 問題はテレビ自体ではなく、親子の対話が減ること [12]
  • BGテレビをオフにするだけで親の発話量が増える [12]
  • 見る時は 一緒に見て話しかける(共視聴) [14]
  • 18ヶ月未満はスクリーン最小限 がAAP推奨 [15]

今号のまとめ

  • 言葉の発達は段階的に進み、個人差が最も大きい領域です
  • 「理解」が先、「話す」が後。理解語彙がしっかりあれば安心材料です
  • 1歳半で有意語なし、2歳で二語文なしが「相談の目安」
  • Late Talkerの約80%は4〜5歳までに追いつきます
  • 家庭では実況中継、応答的関わり、対話的読み聞かせが効果的です
  • テレビはBGをオフにし、見る時は一緒に。対話の時間を守りましょう

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  • Vol.73「うちの子、言葉が遅い?」
  • Vol.123「指さし・共同注意の重要性」
  • Vol.65「スマホとスクリーンタイム」
  • Vol.33「逆さバイバイは大丈夫?」

ご質問・ご感想

「言葉の発達表を見て安心しました」「テレビの付き合い方を見直します」など、ご感想やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。

おかもん先生

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