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「もっとちゃんとしなきゃ」が母親を壊す 「十分に良い母親」のすすめ
Vol.360メンタルヘルス

「もっとちゃんとしなきゃ」が母親を壊す 「十分に良い母親」のすすめ

ウィニコットのgood enough mother概念、完璧主義の構造、手を抜いていい場面を解説

メンタルヘルス全年齢5
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 3問収録

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この記事のポイント

  • 92%の母親が育児ストレスを感じている。「〜すべき」の積み重ねが追い詰める
  • ウィニコットの「good enough mother」: 適度な不完全さが子どもの自立心を育てる
  • 命に関わること以外はほぼ手を抜いてよい。母親が自分を大切にすることが最優先

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.360

「もっとちゃんとしなきゃ」が母親を壊す、「十分に良い母親」のすすめ

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

92%のお母さんが育児にストレスを感じているという調査結果があります [1]。離乳食は手作りすべき。テレビを見せるのはよくない。部屋は常に清潔に。公園には毎日連れて行くべき。こうした「~すべき」の積み重ねが、あなたを追い詰めていませんか。

インスタのあの人も、カメラの外では同じです

インスタのお母さんたちは手作り離乳食で、テレビなしで、笑顔で写真を撮っている。私は何もできていない。そう感じたことがあるなら、ひとつだけ覚えておいてください。あれは「編集された現実」です。

散らかった部屋で、レトルトの離乳食を食べさせながら、疲れた顔でスマホを見ている。それが多くのお母さんのリアルです。投稿されないだけです。

市販のベビーフードは栄養バランスが計算されていて衛生管理も厳格。手作りと市販で子どもの発育に有意な差があるというデータはありません [2]。スクリーンタイムについても、米国小児科学会は2歳未満の使用を推奨していませんが [3]、ワンオペで料理をしている30分間テレビを見せることが発達を著しく損なうという根拠は限定的です。

日本の「母親プレッシャー」の構造には、科学的根拠が乏しい「三歳児神話」、家庭内の性別役割分業、SNSの比較文化、完璧主義の内面化が複合しています。研究ではSNSでの育児情報への曝露がお母さんのストレスや自己効力感の低下と関連していることが示されています [4]。

💡SNSとの付き合い方

「この人の投稿を見ると落ち込む」アカウントはミュートしてください。あなたのメンタルヘルスより大切なフォローはありません。

「完璧でないこと」が、子どもを育てるんです

「hand enough mother」って、単なる「手抜きの勧め」だと思っていませんか。違います。子どもの健全な発達のために、むしろ「完璧でないこと」が必要だ、という考え方です。

イギリスの小児科医・精神分析家のドナルド・ウィニコットが1953年に提唱した概念です [5]。最初は赤ちゃんのニーズに全面的に応える。成長とともに少しずつ「完璧でない」対応を増やしていく。この「ちょっとした不完全さ」が子どもの自立心とレジリエンス(回復力)を育てる。つまり、完璧な母親はむしろ子どもの成長を妨げるのです。

すべてのニーズを先回りして満たす母親のもとでは、子どもは「自分で解決する力」を育てる機会を失います。少し待たされること、思い通りにいかないこと。それらが子どもの心の成長に必要な「適度なフラストレーション」なんです。

命に関わること以外は、ほぼ全部手を抜いて大丈夫

じゃあ具体的にどこまで手を抜いていいのか。答えはシンプルです。命に関わること以外は、ほぼすべて手を抜いて大丈夫です。

手を抜いて問題ないこと。離乳食は市販でいい。部屋が散らかっていても子どもは育つ。テレビを30分見せている間に家事をしてもいい。毎日公園に行かなくてもいい。絵本の読み聞かせは毎晩でなくてもいい。服が汚れたまま1日過ごしても問題ない。

手を抜いてはいけないこと。安全管理(転落、誤飲、やけどの防止)。必要な医療(予防接種、病気の受診)。基本的な養育(食事、睡眠、清潔の最低限の確保)。

コンコン先生
🏥

おかもん先生より

小児科医として1万人以上のお子さんを診てきましたが、「母親が完璧だったから健やかに育った子」は見たことがありません。「母親が自分を大切にしながら育てた子」は、たくさん見てきました。あなたは十分にやっています。

今号のまとめ

  • 92%の母親が育児ストレスを感じている。「~すべき」が追い詰めている
  • ウィニコットの「good enough mother」: 完璧でないことが子どもの成長に必要
  • 市販の離乳食、テレビ、散らかった部屋。命に関わらないことは手を抜いてよい
  • SNSのハイライトリールと自分を比べない
  • 小児科医からのメッセージ: あなたは十分にやっています

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ご質問・ご感想

「手を抜けるようになって楽になりました」「こんな場面ではまだ罪悪感があります」など、体験談やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまやお母さまの症状についてはかかりつけの産婦人科・小児科医にご相談ください。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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